2024年11月20日に開催されたすくすくスクラム仙台「LeSS版スクラムガイドをみんなで読んでみよう!」に参加してきました。
すくすくスクラム仙台さんは自社以外のエンジニア職の方とダベりに時折参加してるのですが、この手のイベント申し込みを管理する connpass の参加履歴を見ると2024年4月以来の参加だったようです。
久しぶりの参加となる今回は Ken Schwaber 氏と Jeff Sutherland 氏が出版したスクラム界のバイブル「スクラム公式ガイド (英語だと単に "Scrum Guide")」を、大規模スクラム(Large Scale Scrum、略して LeSS) に適応させた「LeSS 版スクラム公式ガイド」の読書会を実施。
一応、過去の職場で「スクラムっぽいアジャイル開発」を体験したことのあるレベルの私ですが、何とか食いつき、通常版と LeSS 版のエッセンスの違いが理解できたので、その辺りをこの記事では紹介しようと思います。
また、過去記事には今回以外のすくすくスクラム仙台に参加した感想を載せてますので、こちらも是非ご覧ください。
そもそも普通のスクラムと LeSS は何が違うのか
まず今回参加した勉強会の感想を紹介する前に、普通のスクラムと LeSS は何が違うのかを、私が理解できた範囲で紹介します。
LeSS は、抽象化により「1チームで行うもの」という普通のスクラムの前提を取り払い、スクラムの原則を保ったままプロダクトレベルや組織レベルの大規模開発組織に適用可能としたフレームワークと理解できました。LeSS によって抽象化されているものは様々あり、勉強会を通じて「ここは抽象化されているな」と私が認識できたものには以下があります。
- プロダクトゴールではなく「プロダクトビジョン」(具体的な到達点から理想像への抽象化)
- デベロッパーではなく「チーム」(個人単位から機能組織単位への抽象化)
- プロダクトオーナーの役割が、通常のスクラムと比べて顧客や事業に対する志向性が強くなっており、プロダクトマネージャー (PdM) に近しいものとなっている (視座が高い役割を与えられたことによる抽象化)
大規模スクラムといえば「Scrum@Scale」や「SAFe (Scaled Agile Framework)」などが知られておりますが、LeSS はそれらと比較してスクラムの原則に則ったシンプルさが特徴で、反面「現状の (開発) 組織とどう折り合いをつけるか」が導入時の課題と言えそうですね。
また、LeSS はスクラムに参加するチーム数が2〜8の場合を想定しているフレームワークで、それ以上の場合は LeSS を更に大規模向けへ発展させた「LeSS Huge」と呼ばれる別のフレームワークを用います。
読書会を行っての感想
読書会は参加者を3人組または4人組に分けて実施。グループで30分程度インプットの時間を設けた後、感想や疑問に思ったことを相互に言い合い、その内容は付箋にまとめられ、勉強会の最後で代表者が全員へ共有するという流れで進行しました。
私が居た集まりでは、先述した「抽象化」に関する話題のほか、スクラムマスターの役割に「自己組織化したチームを作る」といったような組織開発的な役割が付与されている点や抽象化によってスクラムチームという概念が削除されている点 (では LeSS で集まっている単位はなんと形容するか?) 、ほかにもスクラムの基礎から「リーン思考」が消え「経験主義」のみになったのは何故か、など様々な議論が。
中でも一番議論が深まったのは「どういう組織に LeSS を適用すれば、生産性が高まるのか」というもの。受託っぽい組織だとなかなか適用できないよねとか、ライフサイクルが長いプロダクトの組織だと良さを生かしきれないのではないかとか、開発者目線でのチーム/組織作りの考え方を聞けて大変刺激になりました。はやり時折ダベりに行くのは良い。
おわりに
勉強会を通じて LeSS とその源流たるスクラム公式ガイドの考え方に触れ、フレームワークの善し悪しについて久しぶりに考えさせられた時間でした。
過去の職場でアジャイル開発をしていたとき「うちのチーム、なんちゃってスクラムだよな...」と思いながら日々過ごしていたのを覚えているのですが、その事実が「スクラムの原則と現実との折り合いを付けた結果」と捉え直した場合、当時の私はスクラムの原則から何を取捨選択しているかを理解できていなかったのかもしれません。
今後もこうしたインプットを通じて新しい学びを得るとともに、内省と振り返りを通じた自身のアップデートを続けていきたいですね。