たかげべら

Written by Takahito KIKUCHI

久しぶりのエフスタ!! 勉強会の LT は時間が足りなかった話

2023.03.11 に福島県郡山市で開催された「エフスタ!! 特別企画『僕たち私たちの12年とこれから』」に参加し、ライトニングトークしてきました。

東日本大震災が起こった日に福島で勉強会ならこのネタしかない!!と考え、様々な要素を取り込んで話そうかと思ったのですが、5分では全然足りなかったので、ブログで資料に込めた想いなど色々と語ります。

ライトニングトーク資料

今回のライトニングトーク資料は、2020年の東北プロボノプロジェクトでの支援から3年ほどご縁が続いている、福島県南相馬市をテーマにして作りました。

www.docswell.com

この資料は、エフスタ!! 勉強会は「郡山を中心に開催される IT エンジニア向け勉強会」という特徴から、以下の要素に造詣の深い参加者は少ない or ゼロではないか? という仮説を立て、ストーリーの構想を練り始めました。実際、この読みは概ね当たっています。

  • 福島県浜通り地区、特に原発被害によって避難区域となった相双地区(相馬市 〜 双葉町近辺)への理解
  • プロボノをはじめとする「専門性を活かした『働く』以外の選択肢」への理解

これまでお世話になった南相馬へのリスペクトを込めつつ、参加者の皆さんに「日頃触れることがない世界」を見せ、問題提起を行うことが、この資料でやりたいことでした

いい流れが来ていたのに、活かしきれなかったのは悔しい

勉強会の参加報告も兼ねているので、少々内容にも触れますが、当日の講師はTalby社CEOの及川卓也氏と、ZHD技術戦略室の鎌田篤慎氏。お二方とも震災後に設立した開発者による災害支援コミュニティ「Hack For Japan」のキーマンであり、それぞれのお話で当時の思い出や当時ITが果たした役割とその限界など、様々な切り口によるお話をしていました。

私も当時開催されたハッカソンやDeveloper Summit 2011 東北に参加していたため、講師のお二方のお話は、当時を思い返すのにとても良い機会を頂けたと思っています。

お二方のお話やパネルディスカッションの内容から「当時の思い出を振り返りつつも、技術の進展によって新しい可能性が広がっている」的な流れに会場全体がなりつつあったので、これはイケる!! と思ったのですが、内容を盛りすぎて本当に伝えたいメッセージが伝えきれずに終わってしまったのは、本当に悔しい限り。ストーリー構成も含めた発表スキルに、まだ改善の余地がありそうです。

このようなメッセージになったのは「エンジニアが持つ視点」に元々疑問があったから

話を資料の内容に戻しますが、今回の資料のストーリーを作るにあたって立てた仮説のうち「専門性を活かした『働く』以外の選択肢への理解」の箇所は、エンジニアが持つ視点、特に「開発とその周辺分野にしか興味関心が及ばない」ことに疑問を持ったことがそもそもの発端となっています。

この疑問を持ち始めたのも、実は2014年のエフスタ!! 勉強会のタイミングでして、当時知り合いのエンジニアとお昼ご飯を一緒にしたときに (10年ぐらい前の話なのでうろ覚えですが)「エンジニアでも事業や会社経営に適切な貢献をすべきでは?」のような問いを投げかけたときに「?」と塩対応されたことがきっかけ。

ご一緒した方はコミュニティもやられるほど優秀なエンジニアだったので、若干のカルチャーショックがあったのと、論点のズレを客観的に認識したことによる「自分、エンジニアには向いていないかも...」という意識が加速した出来事でした。

その後、紆余曲折ありながらも自分自身のあり方を探る期間を挟み、今は経営企画という立場でお仕事をさせていただいている訳ですが、そんな今の私が一つ言いたいのは「ITの世界だけに閉じこもるのは極めてもったいない」ということ。IT業界の主役であり花形であるエンジニアが、その視野の狭さから IT の可能性を狭めているなら、それほど勿体ないものはない。実際、会の中でも触れられた「Hack for Japan」の設立経緯も、及川氏が東日本大震災の惨状を見て「ITでこの状況を何とかできないか!?」と、震災をきっかけに外へ目を向けたのが発端だと認識しています。

また、当時と比べてオンラインツールの発達など「他者との協働」を行う手段も多様化していることから「学びの選択肢」は数多く取れるようになっています。世界を見て、見聞を深め、自分を必要としてくれる場所を見つけるためにも、特に若いエンジニアは勇気を持ってIT以外の世界へ一歩を踏み出して欲しいと思っている次第です。