たかげべら

Written by Takahito KIKUCHI

ひとり兼業人事、戦いの歴史 (2024年編)

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こちらは「2024年 ジンジニア アドベントカレンダー」8日目の記事です。

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昨年もこちらのアドベントカレンダーには参加しておりまして、勤務先である株式会社ヘプタゴンの人材領域担当として行ったことをダイジェスト形式でまとめております。こちらも是非ご覧ください。

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本記事も昨年と同じく2024年に人事領域で行ったことをダイジェストで振り返るのですが、今年は「フルリモート企業での採用立ち上げ」に焦点を当て、取り組みや学びを紹介できればと思います。

はじめに : ヘプタゴンのワークスタイル

取り組みの紹介をする前に、株式会社ヘプタゴンのワークスタイルについて紹介します。

ヘプタゴンは2012年の創業当初からフルリモートワークを採用・継続しており、原則としてオフィスへの出社はありません。全ての従業員がインターネットを介してタスクの授受や遂行だけでなく、各種コミュニケーションやその延長線上における意思決定を行っています。

ヘプタゴンコーポレートサイト「企業文化」より

物理的な拠点を廃したことで固定費を抑えられるだけでなく、従業員のライフスタイルに沿った働き方を提供できており、2024年現在、企業と従業員双方が Win-Win となる仕組みとして機能しています。

具体的な働き方については2024年10月に行われた JBUG 東北 + JAWS-UG いわて での発表資料で触れているほか、本記事公開からほどなく開催される Backlog World 2024 でのセッションでも触れる予定です。

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採用立ち上げは突然やってきた

そんなヘプタゴンでの採用立ち上げは突然やってきます。

2024年の第一四半期も終わりに差し掛かろうとするなか、経営陣からこんなミッションを言い渡されます。

2024年上半期に10人採れ!!

いや、そんな虎のプロ野球チームのネットスラングみたいなことを言われても...。

しかし、経営目標などから逆算すると人をある程度獲得して、事業拡大に向けた準備を行う必要があるのも事実。

そうして兼業人事としての採用立ち上げが始まりました。

採用立ち上げで行ったこと

ヘプタゴンで採用を立ち上げるにあたって、行ったことを一部抜粋して紹介します。

採用に関する仕組みやルールが全く無いところからのスタートだったため、何もかもが手探りでした。

職種・職務の整理

全てのエンジニアが「クラウドエンジニア」の肩書きのもと業務を行っていたため「担当領域 × 経験 × お任せしたい立場」のかけ算で職種の整理を行いました。

ここで得られた職種のうち、戦略上、獲得優先順位の高いものから職務記述書 (ジョブディスクリプション) を作成し、コーポレートサイトやWantedly など採用媒体の求人に反映させています。

面接ガイドラインの作成

本格的な採用が初めて...ということは、既存社員は面接官の経験がゼロ。

全てに私が同席できれば良いのですが、それでは業務の手離れに課題が残るし、何より採用に参加した社員の自主性を損ないかねない...ということで、面接のハウツーを簡単にまとめたガイドラインを社内向けに作成しました。

ガイドラインといっても大仰なものではなく、社内 Slack のCanvas に面接の大まかな流れや応募者への Good/Bad な質問集、見極めてほしい軸などを箇条書きでまとめたもの。

それでも、これがあることで採用面接の手離れが一気に進むとともに、私抜きでも「この応募者はこうだった、ああだった」とコミュニケーションが行われるようになりました。

採用向け会社紹介の整備

公にしている会社紹介資料では「ヘプタゴンの技術スタックは何か」「普段どんなツールを使っているのか」「各種制度はどうなっているのか」など、エンジニアリング領域にかかる企業文化や各種制度を中心とする応募者が知りたい情報が不足していたため、採用向け会社紹介資料の整備を行いました。

会社紹介の場、特に書類選考の前に実施するカジュアル面談でヘプタゴンのことを過不足なく理解してもらえることをゴールに、エンジニア向け採用資料を公開されている企業さんの資料をいくつかピックアップし、徹底的に模倣することから作成がスタート。

その後、いくつかのバージョンアップを経て完成した資料は何回かカジュアル面談で使ってますが、いずれの面談でも企業理解が深まり、応募意欲が上がった状態で終わる成果が出せました。

そのほか、求人媒体の運用や応募者とのコミュニケーション、面接メンバーの調整や面接結果に基づく意思決定など、採用活動において企業側で一般に必要と思われることは全て行っています。

採用立ち上げの成果と課題

こうして2024年に立ち上がったヘプタゴンの本格的な採用ですが、2024年12月現在、新たに5名のメンバーが加わる成果が出せました。

さすがに10人は無理でしたが、突然始まったにしては十分な成果だと思ってます。人数が急激に増えすぎると組織構造が歪になるだけでなく、現存メンバーへの負担も増しますしね。

2024年12月現在の社員インタビュー。2024年9月以降にインタビューが掲載されているメンバーが採用立ち上げ後に入社した方です。

いっぽう本格的に採用を行ってみて「採用オペレーションの負荷軽減・分散」と「エンジニア採用市場における認知拡大」は特に課題だと感じました。

前者は本記事のタイトルにもある通り、私自身が兼業なので採用活動にリソースを取られると他の業務の進行が滞ってしまうのが痛いと感じたため。

後者は、採用活動を振り返った結果、今回の成功要因に「ヘプタゴン既存のブランド力」があった一方、その力が効かない層もいることが分かったため。

今後取り得る経営戦略に左右こそされますが、今後継続して採用活動を行う際はこれらに良い落とし所を見つけたいですね。

リアルとフルリモートで採用活動に違いはある?

冒頭で述べたとおりヘプタゴンはフルリモートワークを採用する企業なので、採用活動も必然的にフルモートとなります。

採用人数が少ないからなのか、それとも合同説明会のような対面でのイベントに参加していないからなのか定かではありませんが、リアルとフルリモートで採用活動に大きな差はないと思っています。これは採用のターゲットをエンジニアで絞っていたことと、これらの職種にリモートワークが一般的になっていたのが要因にありそうです。

また、私が見る限りですが、応募された方で「リモートワークを一番の志望動機に掲げる方」はそこまで多くなかった印象です。もちろん家庭の事情などで止むなく...というパターンもありましたが、多くの方がエンジニアとして成長したいとか、クラウドで○○○なシステムを作りたいといった応募者自身の目標・ビジョンを話されていました。

ヘプタゴンの採用は応募者との対話を重要視するスタイルを採用しているのですが、面接にビデオ会議ツールを使用する都合上、話される目標・ビジョンの本気度合いが対面と比べると若干伝わりにくい場合があるのが、フルリモートでの採用活動の難点かもしれません。

おわりに

ここまで簡単ではありますが、ヘプタゴンでの採用立ち上げをテーマに、兼業人事として2024年に取り組んだことを紹介しました。

人事のほか組織開発も担当しているのですが、こちらの取り組みは先日「Engineering Manager Advent Calendar 2024」へ寄稿した記事として公開していますので、是非お読みください。

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