先日、東京方面へ行く用事があり、合間を縫って GUNDAM FACTORY YOKOHAMA に鎮座する「動くガンダム」を見てきたので感想を紹介します。
同施設および各種メディアでお知らせされている通り、動くガンダムが置かれている GUNDAM FACTORY YOKOHAMA は2024年3月31日で営業が終了が決定。
ガンダムシリーズ自体が馴染み深いコンテンツかつ「空想の産物だったモビルスーツをどう動かすのか?」という問いに対する現時点のアンサーを一度は見ておきたい想いから訪問しましたが、シリーズのいちファンとして大変満足できる施設でした。
そもそも「動くガンダム」とは
今回見てきた「動くガンダム」は、機動戦士ガンダムに登場する架空の人型兵器 (モビルスーツ)「ガンダム」を、同作品の設定に可能な限り準拠した形で現実世界に作ったもの。産業用ロボットや重機の制御技術や構成部品の製造技術、かつてお台場にあった「ガンダム立像」から続く巨大建造物を破綻なく建造する技術とプロジェクトマネジメント...これらが一体となって出来上がっています。
しかし、日本の法律上「人が乗るもの」として認められておらず、コクピット周りは演出のみだし、ガンダムの背中にはデカい支柱が付いている。同施設内にある原作者の富野由悠季氏からのコメントにも、それを悔やむような内容が書かれています。
しかし「2020年代の技術ではここまでできる」と形にしたのは大変意義があり、先日紹介したラスベガス「Sphere」のような派手さはないものの GUNDAM FACTORY YOKOHMA も世界最先端のテクノロジーが詰まったスポットだと思っています。
膝立ちに決めポーズまで!動くガンダム、起動実験レポート
同施設では1時間に2回、実物大ガンダムを動かすデモンストレーションが行われます。今回私が見てきたのは数あるデモンストレーションのうち「起動実験」とされるもの。
デモンストレーション開始前のガンダムはスタンバイモードという設定で、照明が落とされた状態で格納庫に棒立ちの状態。そのままでも十分画になるのですが、開始直前になるとスモークが炊かれ、その様子に何かを期待せずにはいられません。
起動実験開始後はナレーション演出をいくつか挟んだ後、格納庫からせり出し一歩を踏み出そうとするガンダムが、トラブルと称して膝をつくシーンに。ゆっくりだけど確実に人間らしい動きをするガンダムについ見入ってしまいます。
そしてトラブルを乗り越え、再起動したガンダムが腕を掲げ、天に指を指す決めポーズをして起動実験終了。手足に加えて腰や首の細かなひねり動作を交えてポーズをとるガンダムに、思わず「頑張れ!」とエールを贈りたくなったのは私だけではないはず。また、ガンダムの目に当たる部分がインジケーターランプになっている所に現実世界らしさを感じます*1。
アカデミーコーナーで、動くガンダムに使われるロボット技術を学ぶ
施設内には「アカデミー」と称する展示コーナーが併設されており、動くガンダムの開発プロセスや設計、構造そして技術的な祖となった産業用ロボットが展示されています。
その中でも「ビルド君」と名付けられたカワダロボティクス社製の産業用ロボット「NEXTAGE」がガンプラを軽快に作り上げる様は、技術の進歩だけでなく愛嬌も感じられ、2020年代における人間社会に溶け込むロボットのあり方が感じられますね。
このほか、実際の演出設計に使用したポーズシミュレーター体験ブースや立体物の歴史としてのガンプラ展示など展示は多岐に渡り、じっくり眺めるだけでも相当な情報が得られる大変充実した内容でした。
おわりに
営業終了前に GUNDAM FACTORY YOKOHAMA で動くガンダムを見てきましたが、シリーズのいちファンとしては大満足の内容でした。アカデミーの展示内容も職人のストーリーを読むのが好きな私にとっては学びになる内容ばかりで、こちらも見ていて損はなかったと思ってます。
こちらの施設は2024年3月末で営業終了とのことですが、春休みシーズンには人気のあった演出の再実施など行われるそうなので、まだ足を運んでいない方は行ってみても良いのではないでしょうか。
*1:本来は黄色に発光するのが設定上正解なのですが、起動実験終了時は緑に発光している