先日紹介した CES2024 へ行ったその足で、2023年ラスベガスに新しく誕生した球体型ライブアリーナ施設「Sphere」へ行ってきました。
この記事では Sphere の施設そのものや、そこで体験したコンテンツの感想などを紹介します。CES2024 の感想は別記事で公開していますので、よろしければそちらもご覧ください。
- 世界最大の球体型アリーナ施設「Sphere」
- 味覚以外のすべてを刺激する没入型コンテンツ「Postcard from earth」
- それは人の未来かディストピアか。アトリウムでの奇妙な体験
- サステナブルなミネラルウォーター「PATH」も Sphere 仕様!
- おわりに
世界最大の球体型アリーナ施設「Sphere」
今回行ってきた「Sphere」は2023年9月にアメリカネバダ州ラスベガスにオープンしたライブアリーナ施設。建設自体は2022年に行った re:Invent の頃から行われており、その完成形が非常に気になっておりました。
施設の特徴は何といってもその形状。高さ112メートル (366フィート)、幅157メートル (516フィート) の巨大施設ですが、寄りで見ても引きで見てもハッキリ球体だと判別できる、設計者のこだわりを感じる形状をしています。
そして施設全体を覆う無数のLED。その数は120万個と言われており、総工費は日本円に換算すると約3,400億円と、日本ではまず聞くことのないスケールの大きさです。
運営は MSG ネットワーク傘下の Sphere Entertainment 社という専門の企業が実施。施設そのものが特異なせいで、運用や演出設計をする企業を1個作ってしまうところに、どことなくアメリカらしさを感じるのは私だけでしょうか。
味覚以外のすべてを刺激する没入型コンテンツ「Postcard from earth」
この Sphere はこけら落としに U2 のライブが行われたことで有名ですが、特に催しがない日にちは独自コンテンツ「地球からの手紙 (Postcard from earth)」を上映。
これは「今日地球上あらゆる土地で起こっている出来事を、アーカイブとして残した映像から追体験する」という体で作られた50分の映像コンテンツなのですが、味覚以外のあらゆる感覚に訴えかけてくる新しい体験をもたらしてくれます。
施設最大の特徴である18Kの曲面大型LEDスクリーンに加え、全体を覆うビームフォーミングスピーカー、振動する座席、そしてガス噴出装置による風や香りの演出と至れり尽くせり。類似のものに「4DX」がありますが、これと比べても演出のあり方が自然で、自然と映像の世界に引き込まれました。
映像も極めて解像感が高く「きっと独自の撮影技術があるんだろうな」と思っていたら、どうやらセンサーレベルから作り込んだ専用撮影デバイスで行っている模様。やっていることのスケールが違う...!
それは人の未来かディストピアか。アトリウムでの奇妙な体験
施設入場から「Postcard from earth」の上映までは60分の時間が確保されており、その間は施設のアトリウムに設置されているヒューマノイドロボット「Aura」とのインタラクティブ・コミュニケーション体験を行えます。一対一かつ英語でのコミュニケーションに限定されますが、決まったフレーズを使わない自然な対話が、表情の動きまで含めて実現できてたのは非常に興味深かったです。
また、最新のビームフォーミング音響システムを使ったデモンストレーションの課程で「Aura が目の前のお客を特定の場所に誘導する」という一幕があるのですが、これを端から見ると「ロボットに支配されているディストピア」のように見え、あたかもロボットが悪役となる SF 映画のようで興味深いものでした。
また、これ以外にも360度カメラシステムによるアバター登録ブースなども。こうした様々な仕掛けがあるため、アトリウムを眺めるだけでも60分はあっという間に過ぎていきます*1。
サステナブルなミネラルウォーター「PATH」も Sphere 仕様!
施設内では、日本ではお目にかかれない詰め替え可能ミネラルウォーター「PATH」の Sphere 仕様が販売。
蓋と塗装以外のすべてが頑丈なアルミニウムで出来たボトルは非常に高級感があり、Sphere でしか買えないデザインも加わって所有欲をそそられます。
ただ、この限定デザインの PATH の難点はその値段。1本あたり7.59ドル、日本円に換算すると約1140円とミネラルウォーターにしてはメチャクチャ高い。味も申し分ないのですが、1本100円〜200円のミネラルウォーターに慣れていると悩ましさを感じます。ボトルも含めて記念品として買う感覚でいると良いかもしれません。
おわりに
ラスベガスに2023年後半オープンした最新のライブアリーナ施設「Sphere」へ行った感想をここまで紹介してきました。
日本のライブ施設やホール施設では間違いなく見られない、映像技術や演出技術、そしてロボット技術がそれぞれ積み重なった「2024年時点での世界の最先端」を強く感じられる施設だったと思っています。
本領発揮は U2 などの大型アーティストライブなのでしょうが、常設コンテンツも非常にクオリティが高いため、ラスベガスへ行く機会がある方は Sphere へ足を運んではいかがでしょうか。
*1:登録したアバターは Postcard from earth のどこかで出演するとのこと。並ぼうと思ったら定員になってしまって体験できませんでしたが。