たかげべら

Written by Takahito KIKUCHI

CES2024に行ってきた話 (総論編)

アイキャッチ

2024年1月9日からアメリカネバダ州ラスベガスで行われた「CES2024」に仕事の関係で行ってきたので、その話を全2回に分けて紹介します。この記事は「総論編」と題して、イベント全体の感想を中心とした内容です。

私が CES2024 に行くことになった背景などは、デジタルキューブグループの note にまとめられているので、そちらもご覧ください。

note.com

世界最大のテクノロジー展示会「CES」とは

「CES」は1967年からアメリカで開催されている世界最大のテクノロジー展示会。もともとは家電の見本市だったため「Consumer Electronic Show」の頭文字を取って CES となったのですが、現在は家電だけではなくソフトウェアや SaaS などの物体ではない製品も展示されているため、略称だった CES が正式名称となりました。

会場内の通路
会場内の通路。ブース外も人がたくさん。

2024年の今回は、新型コロナウイルス感染拡大によってオンラインもしくはハイブリッド開催を余儀なくされた2021年以降で最大となる4000社以上の企業が世界各地から出展。13万5000人を超える来場者数を誇るなど、国内の展示会とはスケールが桁違いといって差し支えないでしょう。

あと、ついつい「セス」と言いがちですが「シー・イー・エス」が正解です。

CES2024を現地で見た感想

CES のような大規模テクノロジー展示会は個々の企業の展示から注目株を見つけるのが本来の趣旨だと思うのですが、展示の傾向から近い将来に流行するテクノロジーを予測するリトマス試験紙の役割もあると考えています。

そんな CES2024 の現地で一通りブースを見て回って抱いた感想は「思っていた以上に産業界の意向が反映されているな」というもの。具体的には「Industry 5.0」の構成要素である「人間中心 (Human Centric)」「持続可能性 (Sustainability)」「適応力、回復力 (Resilience)」の3つに沿った展示、メッセージが多かったように感じました。

「人間中心 (Human Centric)」の例
「人間中心 (Human Centric)」の例。睡眠系ガジェットのブースはライフスタイルを想起させる内容が多かったです。

「人間中心 (Human Centric)」の例その2
「人間中心 (Human Centric)」の例その2。シンガポールのスタートアップが開発した「腕のスタビライザーデバイス」の展示で、高齢者が使うユースケースを動画で流している。

"「適応力、回復力 (Resilience)」の例"
「適応力、回復力 (Resilience)」の例。センサーとクラウド、AI を組み合わせて作業員の安全確保を図る製品の展示が多数見られました。

「持続可能性 (Sustainability) の例
「持続可能性 (Sustainability) の例。動力や原料が循環しつつ、何らかの価値訴求を行っている製品は昨今の事情を反映しているように思います。

ただ、要素技術単位でのブレークスルーに乏しかった印象もあり、ChatGPT を皮切りに2023年目覚ましい発展を遂げた生成系 AI 技術であっても、製品に組み込まれるのは「要約」「抽出」といった機能ばかりで「これ ChatGPT でいいんじゃない?」とツッコみたくなることも。当該分野におけるユースケース開拓が進んでいないと窺えます。

各国のパビリオンにこそ見所あり!その中で日本はどうだったか

CES2024 には企業ブース以外に、国が出展者となりいくつかの中小企業やベンチャー企業をまとめた「パビリオン」と呼ばれるブースが点在。出展内容のほとんどが内外メディアやインターネット上に情報が無いものばかりで、現地ならではの見所ではないでしょうか。

各国のパビリオンで特に目立ったのは韓国勢。何といってもとにかく数が多い。日本の JETRO に相当する機関が出展しているものだけでなく、特定産業に特化したブースも何カ所かあり、海外進出を国として強く意識しているのが窺えます。

韓国ブースの例
パビリオンではありませんが韓国SKグループの展示はかなり目を引きました。何というか金のかけ方が違う。

日本は JETRO が出展する「Japan Pavilion」と、大阪商工会議所が出展する「JAPAN TECH」の2カ所が存在。オートフォーカスアイウェアを製造する ViXion 社や、香りによるユーザー体験を開拓するアロマジョイン社など国内メディアでも多数取り上げられている有名どころに加え、大阪大学ジャパンバイオデザインの産学連携ブースや電力を一切使わないアシストスーツを開発するダイア工業株式会社など「技あり」な展示が多数見られました。ただ、韓国のそれと比べると慎ましい印象があったので、もうちょっとアグレッシブになっても...。頑張れ日本!

ジャパンパビリオンブース
こちらが「Japan Pavilion」ブース。首都圏や東海地方のベンチャー、スタートアップが中心。

「JAPAN TECH」ブース
こちらは「JAPAN TECH」ブース。大阪を中心とする関西を拠点とする中小企業の出展が中心。

Japan Pavilion より ViXion 社の展示。展示の中心となる ViXion01 はイノベーションアワードを受賞したため、多くの方が足を止め、着用していました。

また、パビリオンに出展する企業の担当者から話を聞くと「これから海外販路を開拓します!」とか「プロトタイプが海外の消費者にウケるかマーケティングしに来ました」など様々な事情がある様子。こういった展示会は量産試作品や成果が得られた実証実験の内容を展示するイメージですが、中小やベンチャーは「踏み台」としての活用もアリかもしれません。

敷地内の移動が大変...そんな時に役立つのは「VEGAS LOOP」

CES2024 の会場はラスベガス・ストリップに点在しており、主な展示は「Las Vegas Convention Center (LVCC)」と「The Venetian Convention & Expo Center」の2カ所に集中しています。後者は2022年に行った re:Invent でもお世話になった場所ですね。

takagerbera.com

家電製品や自動車系の展示は LVCC に固まっているのですが、敷地内だけで東京ドーム2、3個分くらいの大きさがあって移動が大変。こういう時に重宝するのが「VEGAS LOOP」です。

VAGAS LOOPの乗り降りスペース
VAGAS LOOPの乗り降りスペース。照明のせいか近未来感が凄い。

主要会場のひとつであるLVCC
主要会場のひとつであるLVCC。これは South Center という南側の展示ホールで、このほか Central と North の二カ所、同一敷地内に展示ホールがある。

VAGAS LOOP は、テスラや X (旧 : Twitter) の CEO であるイーロン・マスク氏がラスベガスの地下に掘った自動車用トンネル。CES の期間中は LVCC の各拠点をつなぐ経路を無料で使え、徒歩だと20分くらいかかる施設間の移動を2分程度で済ませられる大変便利な代物。1日で LVCC を見て回ろうとするならほぼ必須ですね。

トンネルの中を走っているのは全てテスラ車。私が登場したのは Model Y だったのですが、中にはファルコンウイングが特徴の Model X があったらしい...。Model Y でも加速は抜群で、乗っていて不満は感じません。運転手の中にはノリの良い方が何人かいて、乗車中に「なんだかバック・トゥ・ザ・フューチャーみたいだろう?」といったようなコミュニケーションを取ってくれることも。

VAGAS LOOPを走っている様子
VAGAS LOOPを走っている様子。その様はまさに「弾丸」

おわりに

この記事は「総論編」ということで、CES2024 の全体を見渡した時の感想や印象を紹介しました。次回は「テクノロジー編」と題して、ブース単位で気になった展示や製品を紹介する予定です。お楽しみに。