たかげべら

Written by Takahito KIKUCHI

「#CMC_Meetup 仙台 キックオフ」に参加した話

2024年4月20日に宮城県仙台市で行われたCMC Meetup (Community Marketing Community) 主催のイベント「CMC_Meetup 仙台 キックオフ『コミュニティ×マーケティングの始め方、進め方』」に参加してきましたので、その感想などを紹介します。

eventregist.com

本イベントがテーマとする「コミュニティマーケティング」と呼ばれる手法は、SNS をはじめとする個人を主役としたデジタルメディアの普及に伴い注目を集めるマーケティング手法。勤務先でこれを意識した取り組みを進めているだけでなく、コミュニティの主催で JAWS-UG (AWS Users Group - Japan) の立ち上げに多大な貢献を果たした小島 英揮氏がどんな方かも大変気になっておりました。

CMC Meetup 主催の小島氏による会の説明

知り合いから「4月に仙台でやるってよ!」というのは結構前から聞いていたため、色々吸収するのに好機と感じていた本イベントの存在。結果、普段参加している IT コミュニティとは異なる、熱量の高い方たちと接触できたので大変満足しております。本記事を通じてその一端を感じていただければ幸いです。

コミュニティとしての「CMC Meetup」とは

CMC_Meetup」とは、コミュニティマーケティングの実践者もしくはこれに興味がある方が集まるコミュニティおよびそのイベントの総称。コミュニティおよびイベント運営自体が後述するコミュニティマーケティングの考え方に則って運営されており、今回の仙台開催以前にも全国各地でイベントが開催されています。

cmcmeetup.com

主催が同じ小島氏のコミュニティである「CLS 高知 (Community Leaders Summit)」とよく混同されるそうなのですが、CLS は「関心事でつながったコミュニティに興味を持ち、参加者として楽しみ/ビジネスを広げたり、運営者としてたくさんの人に貢献したりする方々のイベント (公式ページより)」と、中の人視点では明確に違うとお話を伺いました。

www.cls-kochi.com

小島氏が元々 Amazon Web Services (AWS) に務められていたということで IT 色が強いコミュニティと思いきや、参加されている方の大半がビジネス系人材。コミュニティを経営資源として認識しつつも、オープンな議論ができる場所として世界観を作っており、IT 系のそれとの違いを大いに感じられて印象的でした。

また、2024年6月末には名古屋で「CMC_Central 2024」というコミュニティマーケティングで日本最大となるイベントを行うそうなので、こちらからも目が離せません。

cmc-central.com

テーマとなっている「コミュニティマーケティング」とは何か

本イベントおよびコミュニティがテーマとしている「コミュニティマーケティング」ですが、デジタルメディアの普及によって AIDMA に代表される消費者行動プロセスが AISAS、AISCEAS、DECAX などに変化し「製品やサービスを届けて終わり」でなくなった今日において、コミュニティを通じて価値を届ける (Sell through the Community) の有効性が認められて盛り上がっているマーケティング手法になります。

その定義は色々と言われていると思いますが、本イベントや参考までに読んだ小島氏の著書「ビジネスも人生もグロースさせるコミュニティマーケティング (日本実業出版社)」から「コミュニティの力を借用しながら、製品やサービスで叶えたい世界観を達成するマーケティングの一手法」と認識しました。手法について「コミュニティに対して売る (Sell to the Community) ものではない」と定義づけているのもそう感じた理由の一つです。

また、コミュニティマーケティングにおける「コミュニティ」の定義ですが、世界観に興味がある全ての人を受け入れる「興味関心×オープン」を満たす存在としているのも大変興味深いです。IT系のコミュニティに多い「興味関心×クローズド」なコミュニティとの最大の違いはここでしょうか。先述した「コミュニティマーケティングにおける『コミュニティ』 = 経営資源」というのはここから来ています。

イベント内容について

今回のイベントは冒頭に小島氏からコミュニティマーケティングの簡単な説明がなされた後、コミュニティマーケティングの実践者としてコープさっぽろ&みやぎ生協、ヤッホーブルーイング、グレープリパブリックの3社から自社事例が発表。

小島氏によるコミュニティマーケティングの説明。コミュニティを目的にすると迷子になるよ、という言葉がとても印象に残りました。

特にコープさっぽろ&みやぎ生協の事例が目から鱗で、コミュニティマーケティングにおいて重要とされる「OWWH (Objective/Who/What/How)」の考え方が大変よく理解できました。生協をスーパーマーケット (小売業) として見ているとマスマーケティングで十分に見えるのですが、生協の本分は日々の生活を含めた組合員活動の互助。その延長に小売りや保険があると考えると、コミュニティマーケティングで価値を最大化させるアプローチは大変納得度の高いものに感じています。

コープさっぽろ&みやぎ生協の事例。OWWHのObjective(目的)の重要性とコミュニティの存在意義の関係性を考えさせられた大変興味深い内容でした。

またヤッホーブルーイング、グレープリパブリックの2社も事例の中でオフラインによる独自の価値軸創造のプロセスが光っており、コンテキストファースト/トラストファースト/アウトプットファーストの基本原則を強く感じられるものばかり。

ヤッホーブルーイングの事例。地ビールブームの終焉から通販に舵を切り、コミュニティマーケティングを実践するストーリーに必然性を感じます。

グレープリパブリックの事例。零細ブルワリーならではの価値軸の作り方にコミュニティマーケティングの面白さと難しさの両方を感じた良い事例でした。

イベントの最後は参加者からのライトニングトーク (LT) と公開質問会が行われ、中には闊達な議論につながるものもあって盛り上がりを見せていました。

LT 参加者よりCData Software Japan 赤塚さんの発表。いつもお世話になってます。しかしこの資料の内容、どこかで見覚えが...。

イベント当日に X で投稿された模様は Togetter でまとめられておりますので、興味ある方は是非ご覧ください。

togetter.com

イベントの感想など

イベントの感想ですが、この会自体がコミュニティマーケティングのコミュニティマーケティングを担っていると強く実感しました。イベント中では人々を惹き付け盛り上げる「コミュニティリーダー」と、その場所を作る「コミュニティマネージャー」の2つが大切との説明があったのですが、コミュニティリーダーを事例発表のあった3社、コミュニティマネージャーをイベント運営と考えればそう感じたのも納得です。

イベントの参加者が多様性にあふれ、熱量の高い方たちが集まる会はやはり楽しく、雰囲気も相まって「一人で進むんじゃない、みんなで進むんだ」と行動したい前向きな気持ちに自然 と向かうのは、やはりコミュニティの目指すところが自然と浸透しているからなのでしょう。

今回が仙台で初開催となった CMC_Meetup ですが、今後も継続して開催する意向があるようで先述した CMC_Central に加えて目が離せません。そして、イベント後の懇親会で次回のスピーカーを拝命することになったので、魔法の合い言葉「『はい』か『Yes』か『喜んで』」でひとつよろしくお願いします。