たかげべら

Written by Takahito KIKUCHI

地方のクラウドインテグレーターが地方企業のために地方で勉強会を沢山行った話

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勤務先である株式会社ヘプタゴン (以下「ヘプタゴン」) では、2023年春から香川、愛媛、福岡の3か所で画像認識 AI ハンズオンセミナーを開催しています。

2023年12月現在、ヘプタゴンおよびグループ企業であるデジタルキューブ主催のものに加えて、青森県主催の AI ビジネス研修や代表の立花が講師として参加した JAWS-UG 名古屋を含むと5回、のべ8日間の開催実績があります。

本記事では、2023年にヘプタゴンが開催した画像認識 AI ハンズオンセミナーの軌跡をなぞりつつ、地方のクラウドインテグレーターであるヘプタゴンが、どうして地方 IT 企業のために頑張れるのかを紹介します。

なお、本記事は「技術広報 Advent Calendar 2023」シリーズ2の21日目に寄稿した記事です。エンジニア採用が難しいと言われる昨今、注目を浴びている「技術広報」というロール。最近になって意識し、その難しさを感じるなか、先駆者のアウトプットはとても参考になります。

qiita.com

2023年、画像認識 AI ハンズオンの開催の軌跡

エンジニア向けイベントであまり見かけない、カッチリ目の服を着られた方がいるのも特徴です

冒頭で紹介したとおり、代表の立花が講師として参加したものを含めると、ヘプタゴンは画像認識 AI ハンズオンセミナーを5回行っています。以下がその一覧です (2日間開催しているものは1日目のみ掲載)。

jigyosya-shien.pref.aomori.lg.jp

connpass.com

jawsug-nagoya.doorkeeper.jp

heptagon.co.jp

heptagon.co.jp

自社で参加人数を管理しているものを合算すると、全国から延べ70名以上の参加がありました。平日開催もあったなか、多くの方にご参加いただき、感謝しかありません。

参加者の職業はエンジニアから製造業、電力会社、学生、果ては自営業 (おそらく農業) を営むシニア世代と幅広いなか、画像認識 AI モデルの生成とこれを使ったアプリケーションの実装を行うハンズオンコンテンツを全ての参加者が完遂しています。

ハンズオンの題材となっている AWS の MLaaS が優秀なことや、スタッフが進行補助を適宜行っていることも要因としてありますが、プログラミング言語をこねくり回すようなプリミティブな行為を行わずとも、それなりの AI モデルであれば誰もが半日程度で作ることができる、という事実は特に「AI を難しいもの」と捉えている参加者に対して希望を与えられたのではないでしょうか。

どうして全国へ広めることとなったのか

年齢性別関係なく、ハンズオンを通して AI 搭載アプリの実装を体験してもらっています

このコンテンツは元々、上述した青森県 AI ビジネス研修用として開発したものなのですが、これがデジタルキューブ代表の小賀さんの目に留まり全国へ拡大。

当該研修で「御年60いくつのお爺さんも何とか完遂できた」と報告した際に触発されたのがきっかけ...だと思ってますが、小賀さんの頭の中には常に「テクノロジーによる民主化」というキーワードがあり、本ハンズオンのような「地方にテクノロジーという武器を与えていく試み」は趣旨に沿うものだったのでしょう。

また、ヘプタゴンも地域との繋がりは大事にしており、異業種間交流や課題発見だけでなく「地方からのゲームチェンジ」という同じ志を持つ仲間を増やせると考え、継続的に実施しています。

明確に会社対会社で行った2023年10月の株式会社 Fusic 様とのイベントは、Fusic 様が当社の志に共感してくださって開催へつながった経緯があり、小さくも確実に成果が現れていると感じられ、とても嬉しかったです。

技術広報目線で見た場合の本イベントの意義

本イベントを「技術広報活動の一環」として見た場合、その意義はどこにあるのでしょうか。

一部のハンズオンでは、私が講師として登壇することもありました

技術広報を「自社の技術に関する情報を、外部に戦略的に発信するアクションおよびロール」と定義づけた場合、本イベントはヘプタゴンの認知および興味喚起を深めるのに貢献していると考えています。上述した Fusic 様のような「同じ志を持つ企業」とのコラボレーション実現は、その成果の最たるものと言って差し支えないでしょう。

しかし、何回か実施する中で、戦略の達成目標を「売上増加」や「採用」とすると、イベントを通じて認知や興味喚起を深めるだけでは足りないこともわかってきました。どんなターゲットに対して、どんな価値や体験を提供するか、マーケティングの基本ではありますが、回数を重ねてこれらを議論できる環境になってきたのもやった甲斐があったと考えています。

おわりに

2023年初頭から続けてきたヘプタゴンの画像認識 AI ハンズオンの取り組みを、本記事では技術広報視点で振り返りましたが、取り組みの認知拡大や同じ志を持つ仲間の増加など、小さいながら確実に効果が現れています。

認知および興味喚起の先を目指すところに壁こそありますが、ヘプタゴンおよびデジタルキューブグループの理念として「地方からのゲームチェンジを行う」という方向性を示し続けることが今は大事だと、私は考えています。アイデンティティを損なってまで戦略目標を達成すべきかは考えものですので。

2023年で得た知見を基に、2024年は 「周りに集う仲間を増やす」から「共に戦う仲間を増やす」 へステップアップできるよう、やれることをやっていきたいです。

(おまけ) 2024年1月に札幌でイベントやります

本記事で紹介した各種イベントがきっかけで、2024年1月に北海道札幌市でイベントを開催することになりました。日時は1月26日と27日の2日間で、1日目が事例紹介セミナー、2日目がハンズオンイベントという構成です。

heptagon.co.jp

heptagon.co.jp

特に2日目は Amazon Bedrock や Amazon Q などの生成系 AI サービスを活用したハンズオンイベントを予定しておりますので、札幌近郊にお住まいで、これらをいち早く試してみたいエンジニアの方は是非ご参加ください。