たかげべら

Written by Takahito KIKUCHI

お互いのチームのこと、どこまで知ってますか? 開発合宿で「部門間インテグレーションワークショップ」を行った話

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今年の4月に会社でエンジニアを中心とした開発合宿を行ったのですが、その時に「部門間インテグレーションワークショップ」なる催しを企画・実施したので、その話をします。

発表資料

そのときに使用した発表資料は Docswell にアップロードしています。よろしければご覧ください。

実施背景

このワークショップは、下記プレスリリースの通り、昨年の11月に私の勤務先が現在の親会社のグループ会社化となったのが実施の背景にあります。

prtimes.jp

内容の詳細をこの場で語ることはしませんが、この取り組みに M&A 的な性質があることは確かであり、会社間の人材交流および企業文化の統合に向けた動きが、今後の発展には必要でした。加えて当時は、会社を跨いで行う業務が近々で行われる見込みで、そのために行うオフラインのキックオフミーティング企画が水面下で進行中。それに合わせて、2社間の組織活性化に向けた動きもやってしまおうということで、私へ白羽の矢が立ちました。早い話が上司からの無茶振りです

内容について

このワークショップは以下の流れで実施しています。

  1. ワークショップの目的、実施背景、趣旨の確認
  2. 最若手社員による、互いのチームについての発表 (各10分)
  3. 4回のショートワークショップ (1回あたり5分)
  4. ワークショップの成果発表
  5. ふりかえり

ショートワークショップは以下の4テーマを、成果発表の内容である「相手方のチームはどんなチームで、自分たちは何ができるか」に繋げるよう進めます。

  • 相手方について知っていること (与えられた情報を含めた、既知の情報の洗い出し)
  • 相手方について知らないこと (未知の情報の洗い出し)
  • 相手方に知っていてほしい自分たちのこと (暗黙知化している情報や習慣、制約事項の形式知化)
  • 相手方に対して自分たちができること (これまでの内容を踏まえた Give できることの創出)

やってみると思いのほか盛り上がり、後ろの行程の都合でふりかえりが少なくなってしまいましたが「相手チームのことを意外と知らないことが分かった」「自分たちが他者から見られたとき、こうなんだという気づきがあった」などの感想を得られたため、当初の達成目的は達成できたといえます。

この催し自体は開発合宿全体におけるアイスブレイクの立ち位置だったため、実際の業務に与えるインパクトは未知数。しかし、これが呼び水となり双方の間で対話が進み、情報の非対称性が多少なり解消され、能力や仕事スタイルの差に対する気遣いができるようになったことで、情緒的な側面を中心に円滑な業務遂行へ貢献していると考えています。

ちなみに、互いのチームについて発表を行うとき、チーム内の最若手社員を発表者として指定したのは「情報の非対称性を可能な限り埋めない状態でワークショップをやってもらうため」です。最古参やリーダー人材を発表者に指定すると合理的ではあるのですが、現在のチームに対する理解がありすぎて盲点に気がつきにくいと思い、あえて若手を発表者に指定することをしています*1

参考文献

先ほどの発表資料にもあるとおり、このワークショップは「今日から使えるワークショップのアイデア帳 会社でも学校でも使えるアレンジ自在な30パターン(翔泳社)」に記載の「リーダーズインテグレーション」をアレンジして行っています。

https://www.amazon.co.jp/dp/4798164267www.amazon.co.jp

本来は新しく来たリーダーポジションの人に対して、ショートワークショップにあるような内容を行い、上下関係に由来する溝を埋めることを趣旨とする内容。私はここから「登場人物Aと登場人物Bの溝を埋めること」に着目し、多少ストーリーを整えて使ったという感じです。ちょうど他の仕事を並行して行っていたタイミングで、アイデアがすぐ出てこなかったため、本書の存在は非常に役立ちました。

まとめ

無茶振りから始まったワークショップの企画・実施でしたが、当初の目的をひとまず果たすことができたので一安心。自社だけでなく相手方の会社も含めた組織の活性化という、社会人人生でなかなか挑戦する機会のないテーマに取り組ませてもらっているのは難しさを感じるとともに、やりがいを感じます。この記事はその一端を切り出したものなので、今後も機会があれば、こうやって記録に残していきたいと思います。

*1:発表者として指定しなかったベテラン勢はガヤを飛ばすのが楽しいはずなので、硬直した時のフォロー役に回るだろうという期待もありました